王と道化とその周辺

ちっぽけ嘘世界へウインクしておくれよBaby

をたくの見たるジャニーズJr.チャンネルなるものを我も見てみむとして、その結果

(この記事は2018年中に書き始めながら途中で投げていたものを最近になってある必要に迫られ、追補しつつ完成させたものです。)
 
 
 
 

2018年、推しが渡米した年の夏が終わった。

 地元のみ申し込んだJUMPのアリーナツアーは落選を食らい(その後ご縁により救済され、無事地元ドームにて推し不在現場に入ることとなった)、最推しバンドの連続企画も大団円を迎え、転職もつつがなく済ませて、身辺はおおむね落ち着いていた。
 要するに、暇になった。
 
 
 暇というのは心の隙間を増やす。振って湧いたような余暇をつぶすための刺激を無意識に求めていた私は、ある日たまたま、ツイッターランドのタイムラインに流れてきた動画を目にする。その動画たちは適度な軽さとやわらかさを持ち、驚くほどの浸透力で心の隙間に侵入し、“因子”を植え付けていったのだ。
 その動画の提供元を「ジャニーズJr.チャンネル」という。

 
 
 
 

SixTONES

 最初のインパクトをかっさらっていったのはやはり「デジタルに放つ新世代」であった。


SixTONES【SP企画】vs Travis Japan 打ち上げ花火なるべく遠くから見る対決!

 ある日ツイッターランドのタイムラインに流れてきたこの動画。ちょうど時間をもて余していたところだったので「2グループの対決企画とは面白そうなことしてるじゃないか」と見始めた。そう、ここでまず合同企画の前後編としてアップされた2グループの“動画を比較して見る”機会を得たのがジャニーズJr.チャンネルウォッチャーとしてデビューする最大の原因である。
 して、SixTONESとはいかなる集団か。系統としてはKAT-TUNの直系後輩(ご丁寧に元麺の肉親もいる)と聞いていた。ようするにヤカラの集団であり、ロイヤル属性を好んでいる私の趣味とは真逆に位置している。ゆえに、そこまで魂を引っ張られることもないだろうと踏んでいた。ただ、菊池風磨のソロコンに行った結果「松村北斗」とうつろな眼で口走るようになった友人がおり、「まつ◯◯ ◯◯と」および「◯◯もと ◯◯と」という名をもつものは危険人物であることは人生においてすでに証明されているため、そこだけは警戒しつつの視聴であった。(相手チームのトラジャにも「まつ◯◯ ◯◯と」がいることに気付いたのは後述の理由によりもっとずっと後のことである)
 第一感想としては、評判に違わずたいへんな無法者集団であり、えらい悪知恵の回るやつ(まつ○○○○とのことだ)が居り、総じて愉快なヤカラたちだった。

 対決動画の次に話題を小耳にはさんでいた寝起きドッキリを見てジェシーの愛らしさに目覚め、血液型を調べるだけの企画をエンターテイメントに仕上げるバラエティー力に唸らされ、「きょもほく」の何たるかを知り、田中の弟は田中の弟であると知った。高地くんには是非『スクール革命』へメンバーを引き連れてJUMPパイセンにカチコミをかけてほしいと思う。たぶん勝てる気がする。

 
 

Travis Japan

 さきに述べたSixTONESの対戦相手であった不憫なトラジャ。合同企画の動画はこちらのほうが前編であった。そのことに後編冒頭を見始めてから気付いた私は「あ、順番的にはこっち先見なかんのか」と再生し、再生したところで、ふと違和感を覚えたのだ。


Travis Japan【SP企画】vs SixTONES 打ち上げ花火なるべく遠くから見る対決!

 そのときは一旦、さし込めた違和感は置いておき、前後編通して動画を楽しんだ。この時点では「グループ名をうすぼんやりと聞いたことはある」程度の認識で、構成員人数もまったく知らなかったが、ストと比較しなくてもアポとり手際の良さや対応の丁寧さ、撮影中の周囲への気配りなどから、礼儀正しく統制のとれたよい子の集団であることがわかる。ワイワイキャッキャとストレートに対決を楽しむ様子にはおおいに和まされた。企画に集中しすぎてメンバーの小ボケをスルーしてしうまうぽやんとした生真面目さなど、この手触りはちょっとJUMPさんに似ているなと薄々気付きはじめる。(ゆえにストがJUMPにカチコミをかけたらJUMPが負ける気がする。)

 そうして、前編後編の企画を続けて見終えたのち、違和感の正体を探るべく、もう一度、前編を頭から再生した。

 何がそんなにもひっかかったのか。それは動画の冒頭。「シュ~~~~~ッポン(例のSE)」からの、アー写を挟んで本編に入った後だ。
 
 

 トラジャ、動画の冒頭にメンバーのお名前テロップが、出ない。
 
 

 出していないのだ。
 

 もももももったいねえ!! と思った。それに気付いた瞬間、急ぎ他のグループ(B少年以外)も冒頭のみチェックしたが、どのグループもちゃんと毎回冒頭にテロップを表示させている。HiHi Jetsなんて移動するメンバーの頭上のテロップを追従移動させるくらいには顔と名前を一致させることに気合が入っている。気合入りすぎていっそ笑えた。

 つべの企画動画は基本的に単発で、いつどこから見始めてもおかしくない。そして、その動画を見るのはオタクだけではない。毎回まいかい、欠かさず、冒頭にメンバー名のテロップを入れることはとてもとても大切だ。毎日放送するTV番組だって冒頭に必ず出演者名のテロップが出されているのだ。どんなコンテンツにしても「新規にやさしい」ことを大幅加点対象としているため、この一件によって「無法者集団のように見えて意外と細やかな気配りの効いているスト」「真面目なよいこたちだけどどこかちょっと抜けてるトラ」という印象がついた。

 とまれ、抜けてるところも愛おしい、まで行くのに時間はそうかからなかったわけですが。何よりの特徴はクセの強いED曲(曲制作動画がこれまたすごい)と、リーダー宮近による真理と雑のあわいを突いた絶妙な「総評」コメントだろう。「基本的に素直でおだやかでおっとりしたグループだが、たまに発想が4次元の先をいってる」という気風が、つべ配信グループの中では最も己の嗜好と一致していたのだ。
 中でも二人三脚カルタ回とホームランバー回が異様にツボで一時期ずっと見てた。


Travis Japan【全力ギャグ】球場で二人三脚カルタは爆笑!?


Travis Japan【極寒でアイス】ホームランバーでガチ野球やってみた!

 ホームランバー回はファミコン野球ゲーム風の編集も妙に凝ってて好き。

※なお、お名前テロップ問題については、2019年1月31日更新の動画から毎回入るようになりました。ちゃんと気づいたんだね! すごい!! えらい!! がんばった!!(何目線)

 グループ自体の個性はもちろんあるとして、動画は完全統一規格でもって作られている、というイメージがここで壊され、それぞれ特色のある仕上がりになっていることがわかった。そしてこの結論に至るまでの過程で、すっかり「ゆるくて可愛くて面白くて可愛いYouTuberの動画が毎週4本(※美 少年くんについては後述)ほど無料で提供される」という環境をぜいたくに享受している自分がいたのだ。

 地方者にとって、デビュー組が関東・関西ローカルでレギュラー冠番組をいくつ持っていたとしても意味はないのですよ。見られないので。そんな中でJr.がネット配信するということは、好きな時に好きなだけ、合法で推しを浴びることができる。違法アップロードに頼らずに、ブログで、SNSで推しを布教できる。そういうことだった。公式垢の動画をRTしてそれ以外でもリンクを張りまくって「見て! みて! 俺の推しがこんなにもかわいい!!」って各方面へ言いふらせるのだ。こんなに幸せなことはない。
 現場にこだわらずゆるーく茶の間活動する分には、デビュー組のオタクをするよりだんぜん、Jr.を推すほうが精神衛生上いいんじゃあないか。
 ぼんやりと、そんなことを考えていた。

 
 

Snow man

 知ってるぞ! 院卒の子! 阿部くんのいるところだ! と、同じマスタークラス取得者として親近感、また彼が某バンドの旧ドラムスと顔が似ているということから把握していた。健人担の友人に見せてもらったサマパラのバックを勤めていた集団である。世代的にはほぼJUMPさんたちと同期であるゆえ、安定感は抜群に思えた。
「INT値が高い」が私に爆アドなので阿部ちゃん先生動画を拝見しておおいに楽しみ、そしてもうひとつの爆アド要素である「独特の世界観」をローストビーフで全部持っていかれました。「様」が愛称のキャラってぜったい刺さるんだよな……。二次元でも三次元でも、大仰で芝居がかっててキザな振る舞いに躊躇がない、薔薇を横に咥えちゃったりするような(時を経て実際にやってくださいました 舘さまは裏切らねえな……すき……。)
 佐久間くんとの主従ロールがまた良いんだな~。あの世界観に同乗して寸劇できる人がいるから良い。サマパラソロ動画コーナーの迫りくるハイヒール(虎のぬいぐるみ)には背景に宇宙を背負わざるをえなかったけど。

 なんてのほほんと楽しく見ていたら突然三人増えた。
 当時はまぁ色々言われていたし、私としても(年齢的にも周囲との経験値の相対比としても)若すぎるメンバーを急に前線へ抜擢することへの拒否反応があり、ラウールくんが義務教育を終えるまでの期間はすのつべを封印するに至った。
 2019年春を過ぎて、熟考のすえ一部解禁した。ラウールくん、優しいお兄さんたちに囲まれてのびのびすくすく育っていた。ていうかめっちゃ頭いいなこの子!? お兄さんたちに全然負けてないよな!?


Snow Man【カタログカルタ】本気バトル!“母の日ギフト”争奪戦

 母の日カルタ動画を3周する頃には「とりあえず見守ろう」という気持ちになっていたので、とりあえず見守っています。舘さま劇場に新メンバーこーじさんが参加してくれるのも賑やかさが増して良いなと思う。

 
 

HiHi Jets

 花火対決動画よりも前に「強火山田担のメンバーが山田涼介をプレゼンする動画がすごい」とおJUMPさんの界隈で話題になっていて物見遊山で見に行った。ぼくのJr.チャンネルデビュー、実はこのグループからでした。


HiHi Jets 井上企画【Hey!Say!JUMP】山田涼介への愛を語る!

 井上くんの挙げる山田さんのスゴイところベスト1が「ビジュアル!」だったところに激しく同意して終わったことを覚えている。そのありあまる熱意にうっすらヒき気味な他メンバーの反応も面白い。いつか共演できるといいですね。幕間にインサートされる似顔絵もいい味だしてる。ライヴで涙ぼくろを書き足してたことについては本家でもさんざんコスられているので放っておいてあげてください。
 それから時を経てストトラ花火対決を見、例の「テロップ問題」を調査すべくとりあえず初回動画を見て 「えええこの2人(いがさく)中学校卒業したばっかりってえええええ??」 と動揺することとなる。めっちゃ落ち着き払ってんのにこないだまで中学生……義務教育……。
 ここで一瞬、警戒警報が発令しかけた。が動画配信開始時点でかろうじて卒業されていたためにギリギリで年齢制限をクリアしてしまった。KAT-TUN兄貴っぽい雰囲気の子(はしもっちゃん)がいるだけあってギリギリをいつも生きてるね。

 彼らの動画を総括すると「猪狩という子がヤバイ」の一言になります。エチュード(即興劇)回の「あんたは毎日まいにち仕事しごとで家庭は顧みず!!」って台詞のキレがすごくて、こんな言い回しがすっと出てくるってどういう脳の回転してんだ?! とひたすら驚いた。


HiHi Jets 即興で演じます。野球部員の家族が崩壊!?

 ただ頭がいいとかそういうところじゃない、抜群のセンスとキレ味を感じる。あのストとも状況次第では渡り合えそう。
 チャンネル開設時の記者会見で披露してたことわざコントもどきで進行役やってたのもすごかった。正直どのグループよりも印象に残る演出だったというか、HiHiが、というかガリさんが異彩を放ってて完全に一人勝ち状態でしたね……。
 あと、定期チェックしてる他3グループと編集の雰囲気がちょっと違うのが地味に気になる。名前テロップも共通の(?)とは別デザインのものを使ってたり。
 
 
 

東京B少年(現 美 少年)

 こちらのグループは配信開始時に義務教育中のメンバーが在籍していたため、視聴を見送っています。

 若すぎるグループに対しては個人的な倫理観の問題から手を出しかねる。
 あと、グループ名をおもちゃにされすぎてるのも正直見てていい気がしなくなったというか(今はこっちのほうが理由としてでかいかもしれない)
 3年後に会おう! な!

 
 

それからどうなった

 時は流れて、さる2019年5月下旬。さいたまスーパーアリーナにてSnow manTravis Japan、なにわ男子3グループ合同LIVE「ISLAND Festival」が行われた。その公演はISLAND TVというJr.の動画配信サイトでライヴ中継された。
 これまでネットに弱く、また盛況を極めチケットが高値で取引されるようなコンサートでも、映画館等でのライブビューイングを行っていなかったジャニーズがネット配信する時代になったのだ。しかもたったのワンコイン。500円。クレカもコンビニ決済もOK.やっと時代に追い付いたわけである。
 その数日前、例の友人と久しぶりに会食し、なにわ男子が今キているという話で盛り上がった。バーチャルジャニーズってまたすごいとこ行ったよな。みんないちごやくんもとい、大橋くんの話してるよな。ドラマのみっちーと長尾くんが……Jr.限定のジャニショ的なやつが今度できて……などなど。その流れでワンコイン配信のことを知り、それを見る決心もなんとな~く固まっていた。そして25日昼公演のセトリバレから件のなにわ男子がJUMPの『We are 男の子』をやったと聞くやいなや、その午後には「ISLAND TV」に登録し、クレカ決済を終えていた。
 私はこれまでJr.チャンネルをゆるゆると楽しみつつ、本気のパフォーマンス動画(パフォーマンスの様子が混じる舞台裏密着動画等も含む)は見ないように努めていた。本気のパフォーマンスで惚れてしまったら、もう後戻りできない。デビュー組にさえ七転八倒していた私がJr.グループを抱えきれるわけがない。今はまだ早い。まだ早い。そうやって流れてくる弾を避け続けていたのだ。
 そこまで用心に用心を重ねていたのに突如として妙な行動力を発揮するのが僕の悪い癖である。

 画面越しとはいえ生の、本気のパフォーマンスを見てしまうということがどういうことなのか。もちろんそれなりの覚悟はしていた。が、3グループ合同だし前半だけだし、威力は1/3いや1/6であるはずだ、というザルな目算で安気していたところもなくはなかった。
 
 

 そうして訪れた運命の26日17時。
 から、配信を終えて数時間後、
 ツイッターランドをハチャメチャに「トラジャ」で検索している僕がいた。
 
 

 如恵留さまとの出会いである。
 
 

【次回、「慈しみと愛のあるところ~あるいは、私は如何にして川島如恵留を推すこととなったか~」へ続く】